「こんにちは」とお部屋を探しているお客様が来店した。
おしゃれなハンサムな(ちょっと派手な)お客様だ。24~25歳位。
彼はいきなり、
「自分はホストだけれど、それでもOKのお部屋をお願いします」という。
開口一番、ホストを名乗るお客様は初めてです。
(普通、水商売を職業にしているお客様は、少し遠慮がちに話される事が多いです。又、オーナー様も水商売はNOと言われる確率は高いです)
来客のホストさんの話では、歌舞伎町で有名なお店のナンバーワンだと言う。(自信マンマン)
私はその有名なお店の名前を聴いた事がないし、知らない。
しかし、お客様には「そうなんですか」と、ビックリしておいた。
(ホストのお客様をOKするオーナーさんはいるかなー?)と思ったが、自分の職業を隠そうとしない所に興味が沸いた。
ご希望の賃料・広さの物件を探し、お客様の職業を伝え、まずOKをもらってから4つ程の物件を2日に分けて案内した。
ホストさんは自分の車で来ていて、「僕の車で行こう」と言ってくれたので、乗せてもらって出かけた。彼はBMWに乗っていた。
「こんないい車に乗っていてホストさんは儲かるの?」と聞くと、
「儲かりますよ。車を3年毎に買い替えているけれど、社長から次に買うときは1つ上のランクの車を買わなければいけない。と教えられている。
つまり、成長することが大切だ」と
「いつも上を目指して生活するという事なんですね」
「そういう事だな」
「僕はいずれ独立しようと思っているので、色々勉強中なんだ」
「どんな事を勉強されるんですか?」
「例えば、ディズニーランドに月1回は行って観察している」
「ェ!、ディズニーランドで何を勉強されるんですか?」
「ディズニーランドはみんな大好きで、人々は本当に幸せそうに楽しんでいる。どうしたら人々を幸せな気持ちにさせられるか?お客は何を求めてディズニーランドに来ているかを観察している」
「勉強家なんですね」
「お客商売だから、当たり前のことでしょう。考えなしにお客商売は出来ない」
(外から見ていると、お酒を飲んだりして、お客さんと楽しくしているだけかと思っていたが、ホストさんの商売も他の仕事と同じく、色々勉強してお商売をしているのね、と思った。ホストさんは結婚観についても話していた。)
「結婚相手は美女が良い。子供は顔が良くないと駄目だ。背も高い方が良い」
(話の中に「愛」、という言葉は出てこない。ホストさんは人を愛するという事はないのだろうか?美男美女の夫婦と可愛い子供、ブランドに囲まれ、高級車に乗り、人から羨まれる贅沢な生活。
自分の外見の環境ばかり整えて、結婚相手も子供も自身の理想の生活のアクセサリーなのだろうか?アクセサリーを取り除いた所に、人を愛する気持ちはあるのだろうか?愛はどこに行ったのだろう?圏外に行ってしまったのか?私は、包装紙ばかりに価値を置きすぎ、外からの見栄えが良くても空虚なものになるのでは?と心配した。
子供が出来た頃には人を愛する事に気づいて欲しいと思うが・・。)