基本、やさしい夫だと思っていますが、
恨みに思う事もありました。
それは、私が交通事故に遭った時の事です。
私が自転車に乗っていた時、DHL Expressのワンボックスカーとぶつかって
しまったのです。
私は7メートル飛ばされ、救急車が来るまで、
30分程意識を失っていました。
気が付いて眼を開けた時、静寂な世界で、
一面真っ青な空だけが視界に飛び込んできました。
15秒程して、ガヤガヤと騒音が聞こえます。
(後で思った事ですが、私の周りには既に大勢の人々が居たのに、15秒位は何も聞こえなかった。)
周りには救急隊員・警察の人・野次馬の人達が大勢いました。
意識が戻ると、身体に激痛があり、身体が全く動かず、
自身でどうなったのか分かりません。
兎に角痛い。どこが痛いのか分からないけれど、全身激痛でした。
誰かが、家族に知らせる人はいませんか?
と耳元で言うので、
私のカバンの中に携帯がありますので、夫に電話して下さい。
と頼みました。〈携帯は壊れず無事の様でした〉
暫くして救急車に乗せられました。
夫はその日、定期検診(歯のお掃除)の為歯医者に行っていました。
歯が悪い訳ではありません。
警察の人か誰か分かりませんが、夫に電話した様でした。
その人が、
「事故に遭われたので、これから○○病院に救急車で行きます」と状況を説明した所、
「命に別状はないのですね。」
「はい、意識はあります」
「僕は今病院で、順番が次ですので、歯医者が終わってから病院に行きます」
と言ったそうです。
私が病院でレントゲンやMRI等検査して、夫と顔を合わせたのはだいぶ後になってからでした。
DHL Expressの運転手さんも、その時病院に居ました。
「よかった。申し訳ありませんでした。」
と彼は言って、夫に連絡先とかを知らせていました。
(きっと、運転手さんが警察や救急車に連絡をしてくれたのだろうと、後で思いました。)
私はその時は、自分に何が起こったのかハッキリと理解できず、
ただ痛みに耐えていました。
夫は開口一番
「どう?具合は?」
と、落ち着いて、何事もなかった様に言います。
「大丈夫か!」とか、
「心配したよ。」とか、嘘でも慌てた雰囲気で言えないのかしら?
こんな私の微妙な気持ちを理解しない。
私はなんだか口を利きたくない気分になりました。
お医者の診断は鎖骨骨折・骨盤骨折・肋骨骨折だった。
普通、家族が交通事故に遭った知らせを聞いたら、
「次は自分の順番だから、終わってから行きます。」
等言わず、断って飛んでくるものでしょ!
事故の夜も、翌日も、私は40度の高熱が出て、兎に角、体中が激しい痛みで体を動かす事も出来ず、寝ることも出来ず、苦しみました。
それから退院後も、3ケ月は歩けず
神経が切れたのか左足が動かないのです。
棒の様な肉体がぶら下がっている状態で、
左足を動かす時は、両手で足を持ち上げて左足を移動させなければならない
車いす生活でした。
歩けないながらも症状が落ち着いてから、外に出かける時は、
何処に行く時も、
夫は車いすを押して出かけてくれました。
そうした時は、やさしい夫だなと思いました。