2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

66 忘れられない賃借人(7-7)

その訴状が義母の手元に届いた頃、 代理人であるという男から弁護士に連絡があった。 その代理人の話によると、 「義母は高齢であるので、裁判所には行けない。請求の200万円はお支払い致します。しかし、分割にしてほしい」 という内容だったらしい。 「…

65 忘れられない賃借人(7-6)

正月の松の内が明けて、奥さんから電話が掛かってきた。 「夫が、12月30日に亡くなりました。家族で葬儀を済ませました」 私は、翌日香典を持ってお線香をあげに行った。 彼女は憔悴しきっていた。 「お酒を飲んでいるんじゃない?」彼女は頷いた。 「あ…

64 忘れられない賃借人(7-5)

飯田さんの心臓の病気は一進一退だった。 足が腫れてお店の立ち仕事も辛いようだが 「お店の収入がなければ生活できない」と言って彼は頑張っている。 家賃を持参してきたとき、 彼は 「肝臓にガンが発見され、手術しなければならない」と話す。 心臓から、…

63 忘れられない賃借人(7-4)

夫に話すと、 「えー!引き受けたのか」 「大きな問題がある部屋なのに、やめとけばよいのに、 大丈夫か? 心配だよ。 工事代金を完済する前に、国税が債権回収を実行したら、こちらは損失が出るんだよ。 彼からは何も回収は出来ないよ。いいのか?」 「うん…