70 私の配偶者はどんな人?(4)

その1年後、娘が出来、私たちは大喜びでしたが、

 

産後の肥立ちが悪いと言う事なのしょうか、

土・日になると毎週のように39度の熱が出て、身体が疲れ、

私は寝たり起きたりの状況が続きました。

それが何ヶ月も続きました。(出るのは熱だけです)

 

お医者に行くと、「どこも悪くない」と言われ、解熱剤だけを頂く状況でした。

しかし、1週間後にはまた高熱が出るという状況で、

別のお医者に行くと、

「自立神経失調症でしょう」と言われました。

 

食事は何とか作っていましたが、

生まれたばかりの娘の夜の授乳(母乳が出ない為ミルクをあげていました)等は、

夫が手伝ってくれ、沐浴もしてくれ、

休みの時はおむつの取り替えもしてくれていました。

 

私は「優しい人で、良かった。でも夫に随分申し訳ない」と思っていました。

 

半年位経って、熱は出なくなりましたが、体調は相変わらずで、

何かをすると、すぐ疲れ

体を横にすると言う状況でした。

 

熱が出て、私が特に具合が悪い時等、

 

夫は8ケ月の娘を職場に連れて行って、事務の方に見てもらう事もありました。

 

(今では考えられませんが、当時はそうした事に厳しくない時代で、

又夫の職場は特に優しい雰囲気がありました。)

 

夫は娘を可愛がっています。

職場から戻って来ると一番に娘を抱っこしてあやしています。

外に出かける時は、ベビーカーはいつも夫が押してくれていますし、

重い荷物などは持ってくれます。

 

私はお花が好きで、我が家でもお花を植えています。

朝顔を植えると、

夫は「明日は赤が2つ、白が3つ咲くよ。」と報告してくれ、

翌朝を楽しみにしています。

 

バラにも毎日水やりをしてくれています。

「蕾が4つ。何時頃咲くのかナー」と心待ちにしているようです。

 

「バラの名前は覚えてる?」と聞くと、

「忘れた。」と言って、

花そのものの成長に関心があり、名前は覚えません。

 

所が、バラの中でも1つ覚えたバラの名前があります。

 

つるバラ(我が家のは、ピンク)

ピエール・ドゥ・ロンサールと言う名前のバラ。

 

この名前はバラの名前としてではなく、ピエール・ドゥ・ロンサールと言う人物名として、初めから知っていたようです。

 

このピエール・ドゥ・ロンサールというのは、

夫の話によると、

フランスの16世紀の有名な詩人だそうです。

ドゥは(貴族の称号)ロンサールは(治めていた地方の名前)だそうです。

ピエール・ドゥ・ロンサールは宮廷につかえていた若い頃、高熱をだし、熱が下がった時には耳が殆ど聞こえなくなったそうです。

 

その後、僧侶になり、詩人としてバラと恋と田園を多く歌ったとか。

この詩人の歌は多くの人に愛され、

彼の死後起こった宗教戦争で、処刑・幽閉された貴族達が

ピエール・ドゥ・ロンサールの詩を口ずさみながら、死んでいったとか。

その後、バラの名前になり、2006年バラの栄誉殿堂入りをしています。

夫は、こうした歴史と共に、フランスの詩人と関係がある事で、すぐ覚えたようです。

 

このバラに対する思いも深いようです。

そうしたことを思い浮かべながら、水やりをしているのでしょう。

詩人に繋がるこのバラを愛しているのですね。

 

「蕾が膨らんできた。もうすぐだ。」

「ア、咲いた」

と喜んでいます。

(私はそんな詩人は知りませんでした。でもバラは綺麗で愛らしいです。)

 

自然にも興味があり、草花にも心を寄せてくれる人で嬉しい。と思いました。