その1年後、娘が出来、私たちは大喜びでしたが、
産後の肥立ちが悪いと言う事なのしょうか、
土・日になると毎週のように39度の熱が出て、身体が疲れ、
私は寝たり起きたりの状況が続きました。
それが何ヶ月も続きました。(出るのは熱だけです)
お医者に行くと、「どこも悪くない」と言われ、解熱剤だけを頂く状況でした。
しかし、1週間後にはまた高熱が出るという状況で、
別のお医者に行くと、
「自立神経失調症でしょう」と言われました。
食事は何とか作っていましたが、
生まれたばかりの娘の夜の授乳(母乳が出ない為ミルクをあげていました)等は、
夫が手伝ってくれ、沐浴もしてくれ、
休みの時はおむつの取り替えもしてくれていました。
私は「優しい人で、良かった。でも夫に随分申し訳ない」と思っていました。
半年位経って、熱は出なくなりましたが、体調は相変わらずで、
何かをすると、すぐ疲れ
体を横にすると言う状況でした。
熱が出て、私が特に具合が悪い時等、
夫は8ケ月の娘を職場に連れて行って、事務の方に見てもらう事もありました。
(今では考えられませんが、当時はそうした事に厳しくない時代で、
又夫の職場は特に優しい雰囲気がありました。)
夫は娘を可愛がっています。
職場から戻って来ると一番に娘を抱っこしてあやしています。
外に出かける時は、ベビーカーはいつも夫が押してくれていますし、
重い荷物などは持ってくれます。
私はお花が好きで、我が家でもお花を植えています。
朝顔を植えると、
夫は「明日は赤が2つ、白が3つ咲くよ。」と報告してくれ、
翌朝を楽しみにしています。
バラにも毎日水やりをしてくれています。
「蕾が4つ。何時頃咲くのかナー」と心待ちにしているようです。
「バラの名前は覚えてる?」と聞くと、
「忘れた。」と言って、
花そのものの成長に関心があり、名前は覚えません。
所が、バラの中でも1つ覚えたバラの名前があります。
つるバラ(我が家のは、ピンク)
「ピエール・ドゥ・ロンサール」と言う名前のバラ。
この名前はバラの名前としてではなく、ピエール・ドゥ・ロンサールと言う人物名として、初めから知っていたようです。
このピエール・ドゥ・ロンサールというのは、
夫の話によると、
フランスの16世紀の有名な詩人だそうです。
ドゥは(貴族の称号)ロンサールは(治めていた地方の名前)だそうです。
ピエール・ドゥ・ロンサールは宮廷につかえていた若い頃、高熱をだし、熱が下がった時には耳が殆ど聞こえなくなったそうです。
その後、僧侶になり、詩人としてバラと恋と田園を多く歌ったとか。
この詩人の歌は多くの人に愛され、
彼の死後起こった宗教戦争で、処刑・幽閉された貴族達が
ピエール・ドゥ・ロンサールの詩を口ずさみながら、死んでいったとか。
その後、バラの名前になり、2006年バラの栄誉殿堂入りをしています。
夫は、こうした歴史と共に、フランスの詩人と関係がある事で、すぐ覚えたようです。
このバラに対する思いも深いようです。
そうしたことを思い浮かべながら、水やりをしているのでしょう。
詩人に繋がるこのバラを愛しているのですね。
「蕾が膨らんできた。もうすぐだ。」
「ア、咲いた」
と喜んでいます。
(私はそんな詩人は知りませんでした。でもバラは綺麗で愛らしいです。)
自然にも興味があり、草花にも心を寄せてくれる人で嬉しい。と思いました。