47 電話セールス (2の2)

夫が言うには、

 

「相手側は一括決済したいらしい。

 

持ち回り契約にしたいそうだ。

 

我が家に来て契約書に印鑑をもらいたいと言っている」

 

「それで良いか?」

 

と聞くので、

 

「それはやめた方が良い」

 

「売主のあなたが先に契約書に捺印し、買主の捺印がない契約書を

営業マンが持ち歩くことは非常に危険だと思う」

 

「大体、あなたはその営業マンに1度も会ったことがないでしょ!

今回の成り行き事態、私は心配しているの」

 

「まず、契約書の案分を請求して頂戴。

どの様な契約内容か、事前に知っておく事。

 

又、契約書の説明をする仲介業者の会社名、及び所属不動産協会と、

取引主任者の名前も事前に教えてもらったら?

 

相手会社が普通の事をする会社か、ちょっとスキがあれば‥・と思う会社なのか、

現段階で、どんな会社か分からない。

 

こちらが色々知っていると、相手も変な事が出来なくなるから、

 

事が、どうにもならない段階に進む前の、今の段階でこちら側としては

身を守るための、事前の手を打っておく事は大事じゃないかしら?」

 

「そして今回の契約の場合は、必ず買主と対面で契約書に捺印し、

 

識別情報は営業マンに預けず、

 

当日持参し、司法書士に渡し、

 

売買代金の振込の確認と同時に、

 

売買代金の領収書を発行する。

 

その様な段取りになる様に交渉してね」

 

「分かった」

 

 

夫は営業マンと交渉し、夫の主張が通った様子。

 

決済場所は買主の会社になった。

 

日時も決まった。

 

そして、契約書の案分も送られてきた。

 

夫は、自分の希望通りの価格で決まり、段取りも順調に進んでいることで、

 

ワクワク、ソワソワ

ニヤニヤしている。

(気持ち悪い)

 

 

今回の話は、夫が一人で進めている話なので、私はついて行く気がしない。

 

私は娘を呼んだ。

(のんきな、お人好しの夫だけで、行かせる事はできない)

 

娘は他の売買契約でも3度程同席して、その雰囲気を知っている。

 

今回の成り行きを話したら

 

「え、売るの?決まったの?」           

 

「私は行かないから、次の様な手順で進めて欲しいの。

 

あなたが書類を持っていて、成り行きを見守って居てちょうだい。

税金の案分とか、細かいことはお父さん得意で出来るから、

 

あなたにお願いしたい、一番大事なことは、

 

売買代金の口座への振り込み確認、

 

これをしっかりネットで確認してから、

売買代金の領収書を買主に渡し、印鑑証明書や識別情報は司法書士に渡して頂戴」

 

「うん、わかった」

 

娘はしっかりしたところがあり、

オッチョコチョイな夫より慎重な所があり、信頼できる。

(夫には悪いが・・・)     

 

その日が来て、二人は出かけた。

 

4時間ぐらいして娘から電話が掛かって来た。

 

「終わったよ、お父さん嬉しそうにしてる」

「有難う、ご苦労様」

 

「食べて帰るから」

「OK」   

 

夫は「自分が決めた価格で売った」と自慢げです。

 

何事もなく夫の思い通りに事が進み、ヤレヤレですが、

途中経過は危ない場面がチラホラ。

 

娘も「あんなに喜んでいるようじゃ心配だね」と言う。

 

落ち着いた取引をして欲しいものだ。

しかし、無事成功したので良かった。   

 

最近はこうした電話やダイレクトメールが多い。

相手の言葉をうのみにせず、

 

一つ一つ自分で調べ、確認して判断する事が大切です。

たった1つの間違いに気づかず、思わぬ事態になる事にもなりかねません。                  

 

用心、用心。