業法違反 2

当社まで15分位で来れるところ、1時間半位して2人はやって来た。

(時間がかかった。それでも来ないよりは良い。ある意味、よく来たと思う。)

 

50代と40代の男2人。

 

私と顔を合わせるなり

「申し訳ございません」と二人して頭を下げた。

 

「随分遅かったですね。顔を上げてちょうだい。散りあえず名刺を頂きましょうか」

二人は名刺を出した。

 

「申し訳ございません」

「あなた方は何をしたか分かっているの?」

「はい、申し訳ございません」

「なぜこんな事をしたか説明してくれるかしら」

「申し訳ございません。もうこのような事は致しません」

 

「どうして説明出来ないの?

業法違反をしたのよ。その事は理解しているのでしょうね」

「はい、申し訳ございません」

 

「あなた達には、業法違反をしようとした理由があるでしょ。その理由を聞かせて欲しいの」

「申し訳ございません」

 

「これで取引は終わりです。と買主さんと御社の上司に伝えましょうか?

東京都にも報告しますよ。御社を営業停止に持ち込めるわよ」

 

「それだけはご勘弁を、申し訳ございません。」  

「売主さん、買主さんが契約成立するという喜びを、あなた方は潰したのよ」

「はい、申し訳ございません」

この2人は申し訳ございませんしか言わない。

 

(申し訳ございません。で済ませる訳にはいかない)

 

「あなた方の選択肢は2つです」

 

1つ目は、この話は白紙に戻し、当社は御社及び東京都に御社の行為を報告する。

2つ目は、謝罪文を書いて、私に土下座して謝ってください。

どちらを選択しますか?

 

二人は、即2つ目を選択した。

 

私が作った謝罪文に二人は社名も入れ署名捺印した。

そして「申し訳ございませんでした」と土下座して謝った。

 

今後の為にも、こうした謝罪文は大切だ。

決済まで、彼らが不穏な動きをしない様、

プレッシャーの役目もするし、違法な事をしたのだと言う自覚も持ってもらいたい。

又、まさかの時は、この謝罪文が効果を発揮する。

 

「今回はこれでなかった事にして、話を進めます。決済までの間に変な事があったら、この謝罪文を、御社・東京都に提出しますよ」

 

「はい、分かりました。申し訳ございませんでした」         

「あなた達、当社を甘く見ているんじゃない?」

「そんな事ありません。申し訳ございませんでした」

 

2人は帰って行った。「申し訳ございません」しか言わなかった。

 

(不動産の仕事上では、宅建業法上でルールがあり、不動産業者はその業法を守って仕事をしているのであり、今回の様なルール違反をする様な行為は許されない。

私の気持ちの中ではムクムクと違反を正そうという気持ちが湧いてきたのです・

彼らは自分たちがしたことは十分分かっていたはず)

 

変なことをすると戦うわよ!

 

アー スッキリした

 

その後は何事もなく、2人の対応はことさら丁寧で、

電話でも緊張してペコペコしている様子だった。

(書類で首根っこを押さえているからかも)

 

その後、トラブルもなく、無事決済も終えた。

売主さんにも喜んで戴いた。