73 私の配偶者はどんな人?(7)

夫が財布を無くすのは、1度や2度ではありません。


銀行のキャッシュコーナーの台に、財布を置いて(1度のみならず)忘れるとか、
銀行から出て、車の屋根に通帳を置いてドアを開け、車に乗り込み

そのまま発進するとか、
枚挙にいとまがありません。
それらの財布や通帳は戻ってきませんでした。

 

日本での事件ですが、

夫がタクシーに乗ったのは日が落ちてからでした。

駅について、タクシー料金を支払い、車を降りて電車に乗り、家に帰って来てから
財布がなくなっているのに気が付いたのです。

 

「アレ・アレ・・・」
「車を降りた所で落としたのかナ?」

「中に何が入っていたの?」
「カードと名刺・身分証。お金は5万円位かな。」

 

翌朝、駅の近くの交番に届いているかも知れないと、交番に電話をしました。
「財布の落し物は届いていません。」との返事。

それから、又カード会社に停止の電話を掛けました。
(カードを停止すると、再発行とかホントに面倒なのよね。)

 

結局財布は何処で落としたのか分からない。
諦めることにしました。


その2日後、夫に電話が掛かってきました。

 

暗ーい  低―い声で、  

「お困りでしょ?」

 

タクシーの運転手からです。

 

「車に財布をお忘れでしたよ。
明日の〇〇時、丸の内の○○に10万円を持ってきて下さい。
そうしたら財布をお返ししますよ。」

 

「タクシーの運転手から電話が掛かってきたよ。」
と言って内容を私に話します。

「そんな事言ったの。気持ち悪い。怖いわね。それでどう返事したの?」

 

「分かりました。」って。

「エ!行くの?」

 

それから私たちはこの件について話しました。
夫が乗ったタクシー運転手は、50代後半の個人タクシーでした。
財布の中には名刺も身分証も入っているから、

自宅の住所も電話番号も勤務先も相手は知っている。
家の近くまで来たのじゃないか?
等、不安がよぎる。

こんな変な電話を掛けてくる運転手、気持ち悪い。
財布の中の5万円では満足しなかったのね。 

「警察に届ける?」

「大した罪にはならないだろう。返すと言っているんだから。
それより、警察に届けた事を恨みに思って、その後、変な事にならないか心配だ。」 等。

 

夫は、
「何だか気味が悪いけれど、金額を提示しているから

金を渡せば返してくれるんじゃないか?指定された所も、

人通りがある所だから、変な事はしないと思う。

行ってみよう。」

と言います。


翌日、夫が指定された時間にその場所に行くと、

見覚えのあるタクシーが止まっていて、

名前を伝えると、運転手が手を出した。

 

お金が入った封筒を渡すと、運転手は中のお金を確認してから、

財布を返してくれました。

そして、アッと言う間に運転手は車を発進して行ってしまった。

 

夫はタクシーが行ってから、財布の中を確認した。
元々入っていた現金5万円・カード・身分証も全て中に入っていました。

財布の中に入っていた物には、全く手を付けていませんでした。

 

財布には手を付けず、別枠で(謝礼?の形で)お金を要求する。
中々巧みな運転手です。

 

まあ、無事に終わって財布も戻って来て、ホットしましたが、
何だか後味の悪い事件でした。

 

その後、私は夫の財布に鈴をつけました。

チリン・チリンと音がすると、意識がいって財布と仲良くなりますよネ。

 

所が、1週間たったある日、その鈴が私の財布に付いていました。

 

「僕はいやだよ。君も注意した方がいいから付けておいたよ。」

「忘れるのは私じゃなくて,あなたでしょ」

その後も財布事件は起こります。

 

財布を忘れる事も夫の個性。諦めました。

本人が嫌だと思う事は仕方がない。
嫌な事を強く勧めると、気持ちが萎縮してしまう。

 

でも現金と分けて、
カード・身分証は別にして持つように頼みました。

それはOKしてくれました。

 

鈴はその後私の財布に付いたままです。
私が付けていると、

僕も付けようかナ」という事があるかも知れないと思って。

 

それは何時の事か分かりませんが・・・。