スナックのママの話 3 (宗教)

前述の、スナックのママとは色々お話しするが、昼食時にお手伝いに来ているオーナーの妹さんも私の店に来て話をする。両方から話を聞く。

姉妹だから本人には言えなくても、色々言いたいことがある様子。

度々ママの店から避難してくるようになった。私が告げ口をしないことが分かると、心を許して話は全開になって来た。 

勿論ママのご主人の事も承知の事だから、私も妹さんにはご主人の事は話せるようになった。

この妹さんが言うには、

「妹だから、私にはいつも命令してきて、妹の私をこき使う。我儘な性格で、自分は常に正しいと思っていて、偉そうにしている」と言った内容だ。

「姉はある宗教を信じていて、入信するように勧めてくる。私の主人にも勧めるし、姉の夫にも勧める。すっかり宗教にはまっているものだから、ちょっとやそっとで諦めない」

「私は絶対入らないし、主人も何度断ったか知れない。それでも諦めない」

姉の夫には、「信心しないから家を売るような事になったのだ」と言うらしい。

「姉は結婚前から自分で働いたお金を貯めていて、貯金は随分あり、老後は心配ないと自分で言っている。夫がお金に困っていても、自分のお金はびた一文出す気はない。夫にはこの苦境から脱出するには「信心しかないのだ」と言って、ご主人を教会に何度か連れて行ったが、ご主人は行きたくないと思ったらしく、途中でやめた」

家を売って新しい家に引っ越しした辺りから、ママの夫婦関係は益々ギクシャクしてきたようだ。色々大変な事になって来た。

ある日、ママが中年の女性と一緒に私の店に来た。

話を聞くとママの信じている宗教の幹部の人らしい。

人当たりのよい、穏やかな上品な女性だ。その時は当り障りのない世間話をして帰って行った。(私は妹さんから聞いていたので、嫌な予感がした)

その数日後、幹部の女性から手紙と贈り物が私に届いた。

(困ったナー、私は無宗教だし、勧められても入信するつもりは無い)

仕方がないので、お手紙に「申し訳ないですが、ご期待に沿えない」との内容を書いて、同等より少し上の品を送った。

それから数か月後、又幹部から品物が届いた。又私は前回と同じことをした。

そうしたことが6~7回位続いた後、諦めて送ってこなくなった。

ヤレヤレ良かった。

ママとは相変わらずの付き合いで、税金申告の時期には相談しに来ることがある。

ママから直接私に入信を勧めてくることはなかった。(この事は良かった)              

ママの話では、ご主人と益々気まずくなってきた様子だが、

「私は離婚しない。出て行けと言われても、どんな事があっても絶対出て行かない!」と言う。

この夫婦はどうなっているのか?

妹さんは途中で店を手伝うのをやめたが、ビルのオーナーさんだし、時々来ては話し込んでいく。

「ご主人がかわいそうだわ」と言うが、私は何とも答えられない・

その後、ママは腰を悪くして店をやめた。しかし、近所に来た時は私の店に寄って話して帰って行く。

ご主人とはその後どうなったのだろう?と思うが、私からは聞かない。

でも、ママは離婚したとも言わないから、一緒にいるのだろう。