土地収用は道路を挟んで、向かいの通りもそうだ。
私が借りたこのビルは、収用が終わって新しく立て替えたビルだけど、今最中の所もある。向かいの数件先の3階建てのビルのオーナーさんは、借地だが60坪ぐらいあり、又、隣にもアパートを持っている。商業地域だから借地権割合は7:3となるから、土地を借りている方がとても有利だ。
私は、このビルのオーナーさんのお部屋も預かっている。
このオーナーさんは収用の事を自分からは話さないが、大体の事は分かる。
その大体のお話で進めると、収用でビルとアパートと両方でかなり多くの金額を手にすることが出来た様子。
(私が借りているビルのオーナーどころではない)
今度は、オーナーのビルと地続きの裏の土地が欲しいと当社に依頼があった。
その土地は2区画に分かれていて1つは旗竿地(A地)で、それが売りに出ていた。
もう一つ(B地)は道路付も良かったが売りには出ていなかった。
A地とB地を合わせると、80坪程のきれいな四角の土地になり資産価値も上がる。
しかも、その土地は所有のビル・アパートとも地続きだ。
オーナーさんが、欲しがる気持ちになるのも無理はない。
「私は、取り敢えず売りに出ているA地を購入し、B地は売って頂けるよう交渉しましょう。しかし、B地は道路付けも良いし、売りに出ているわけではないので、相場よりほんの少しでも高値を付けなければ、売り主さんは売りたい気持ちにならないでしょう。少し高値になりますが、同意していただけますか」と提案したら、
「是非お願いします」と言われたので、まず、A地を購入してもらう事にした。
A地は売りに出ていたので、売値より安く買い付けを出し、相手側と値段交渉した。
(B地は高くなるので、A地は少しでも安くしておきたかった)
計画通り、少し安い値段で契約することが出来た。
さて、B地だが、登記簿謄本を取ると所有者は郊外に住んでいる。尋ねるとご主人が出てきて、応接間に通され話は聞いてくれたが「考えたことがない」との反応だった。
(困ったナー。全く売る気がなかったら買主さんへの返事が困る)
1週間して2度目お伺いした。
相場の資料や、近隣の取引状況、そして、具体的な金額を提示した。
所有者のご主人は、資料や値段をじっくり見て、「考えてみましょう。1週間時間をください」と、前回よりも前向きなお返事だった。(どうなるかナー?)
その1週間後訪ねると「売りましょう」との返事を戴いた。
はれて売買契約が成立した。
買主のビルのオーナーは、希望通り、地続きのA地B地両方を購入し、ビルと合わせると大きな土地になり、大変喜んで下さった。
それ以後、長いお付き合いが続いているが、この土地購入も土地収用のチャンスがあったればこそ、大きく動くことが出来たのだと思う。