スナックのママの話 2 (売買)

買主さんは都庁に努めるお役人だった。           

契約日も決まったので、重説・契約書作りに、おおわらわ。

当日は売主・買主・不動産屋の友人も立ち会い、契約は進んだ。

買主さんは税金の事は詳しく、私がまごまごしていると、「こういう事ですね」「はいそうです」と言った状況だった。

無事契約も終り、売り主さんに手付金を渡すことが出来た。決済は3週間後に決まった。

売主のママの夫から、「これで下請けの人に支払うことが出来ます。連日悩んでいて、寝れないこともありましたが、お陰様で肩の荷がおりました。有難うございます」とお礼を言われた。

(いえいえ、まだ終わった訳ではありません。決済まで気が抜けません)

「お金は未だ残るので、小ぶりの家を買いたいので、引っ越し先を探してほしい」

と言われた。

「はい分かりました」と又答えた。

(下請けに、「支払えない」と開き直って踏み倒すのではなく、自宅を売ってでも支払うことを選択したご主人は「立派だナー」と思った)

私にとっても、お話を受けたのは良いけれど、何か月も売れなかったら、期待を裏切ることになるし、何といっても初めての売買だったから不安は一杯だった。

最後の決済まで何事もなく進んで欲しい。

助手をして手伝ってくれた友人に、「有難う、あなたが手伝って下さったおかげよ。決済が終わったら○○万円をお手伝い料として、お支払いするわね」と言うと、

「私も勉強になった。売買の一連を経験することが出来て良かった。私からお願いしたことだし、勉強代をこちらから支払わなければならない位よ。それはやめてね」と言ってくれた。

(しかし、そういう訳にはいかない)

そして、無事決済も終わり、買主さんへの所有権移転も終了した。

結果からみれば1ヶ月で契約し、3週間後に決済。私としては大成功だった。                    

決済後、友人の不動産屋さんにはお礼をした。

今度は引っ越し先を探さなければならない。

予算は聞いているので何軒か中古の物件を見てもらった。

その中で、同じ中野区で気に入ってもらえた物件があり、それに決めたいと言うので、交渉し契約にこぎつけた。予算よりも少し安い価格だった。

売りと買いをスムーズに進めることが出来、ご主人とママには喜んでもらって本当に良かった。ご近所さんという事もあるし、私も安堵した。

売りと買いで手数料を戴いたが、初めての事で疲れた。

次回からは少し楽になるかしら。

その後も、ママのお店とは以前と同じようにお付き合いを続けている。