お金持ちの地主さん 4

甲地主さんは自身が体験した、過去の話を楽しそうに話す。

土地の事で国や東京都とこんな事(バトル)があったとかの話、等。

 

国や東京都は、都市計画や道路計画等公共事業で、土地収用をする事は多々あります。

(当ブログの、前述の幸福通りの様に)

甲地主さんは、国や東京都の計画に自身の所有地が掛かる事がよく有り、収用地についての交渉があると言う。

 

甲地主さんは多くの土地を所有しており、土地収用の話が、1ケ所や2ケ所ではないのです。

ある年はA地、その3年後はB地、その又3年後はC地・・・といった具合です。

 

所有地を出来るだけ高値で国や都に売却する為の対応とか、

「失礼な対応(気に入らない話の内容)をするようなら、こちらはテコでも動かない」・「代替地が気に入らない」

とかの話をされる。

 

又、納税の時期や、相続税の支払い時は、「土地を守るために(税金の支払いを少なくする為に)どの様に苦労したか」と話をされる。  

 

又、借地人が家を売りたいと言ってきて、共同売却(普通売買)の話になっても、

甲地主さんは「売買の手数料は絶対支払わない。払った事がない」と、自慢げに話す。

(一般の人は普通売買の時、手数料を払いますよね。私も払います)

 

「どんな大手の不動産屋が来ても支払わない」

と自身にとっては、当然の様に話す。

お金が入るのは良いが、出ていくのはほんの僅かのお金でもいやで、いやというより

許せないらしい。それを通しているのだ。

 

甲地主さんは自身の不動産については相続登記をしていない。

(これについては甥のA地主さんは不満を漏らしていた)                         

 

2年位お付き合いさせて頂いたが、この地主さんはちょっと・・・

と思う気持ちが2年の間に、だんだん膨らんで限界になって来た。

(会話は穏やかな口調だが、何というか殿様気分で、甲地主さんが話される話の中身が、私には受け入れられないものになってきた)

 

具体的な用事もないのに、地主さんの話し相手に呼ばれているような気がした。

 

「愛せない場合は通り過ぎよ」と言う有名な言葉がある。

 

紹介してもらったA地主さんに「私には荷が重く、力不足なので甲地主さんとのお付き合いをご遠慮させてもらいたいと思いますが宜しいでしょうか」と尋ねた所、

「かまわない」

と言われたので、お手紙を出し、封筒の中にお預かりしていたマンションの鍵全てを入れ送った。

そして、電話でもその事を伝えた。

「分かりました」との短い、アッサリした返事だった。

これで終わった。     

 

何事も行き過ぎると良くない。お金持ち過ぎると(庶民の私から見て)良識の判断がおかしくなってしまう人がいる。(そうではない人もいるでしょうが)

お金がなさ過ぎても、精神を病んでしまったりする事もある。

常に良識の判断ができ、偏ったエゴな気持ちにならない様にしたい。

 

甲地主さんを断ったことで、A地主さんとの関係もおかしくなって終わるかも、

(それでよい。その時はA地主さんの物件も全部お返ししよう)

と思っていたが、相変わらず「こんにちわ」と来る。

 

「先日はすみませんでした。お役に立てなくて」

「いや、良いんだ」

A地主さんも、伯父の甲地主さんに何か思う所があるらしい。

 

甲地主さんは相続登記をしていない。

先祖の不動産を自分が一括して管理し、持ち分に応じて借地の借料やマンションの賃料等を分配している。

A地主さんは甲地主さんのこうしたやり方に不満があり、きちんと相続登記をし、自身のものとして管理したい。と思っている。

相続登記をして欲しいと何度も話すが、甲地主さんは頑なに拒否していると言う。   

 

普通、相続が発生すれば遺産分割して相続登記をするものだけれど、大金持ちでこういうケースはままある。

代が変わる程、末広がりになり、本当の所有者が誰なのか、

登記簿謄本を見ただけでは分からなくなってしまう。

 

A地主さんはキチンとしておくのが好きな性格で、ご自身の所有する土地は、すべて相続登記をされ、測量もやり直しています。

 

所が、A地主さんの母親が亡くなった時も相続登記は行われず、A地主さんは、これでは自分の子供が相続する時もこの問題は残ったままになる。と心配しています。

 

 

東北大震災の時、所有者が分からなくて困っていたのは、相続登記がまともにされていないケースが多かったからでしょう。