最高裁の判例 2

しかし、もう1件残っていた。

この物件は管理会社より、理事会の方が強く、反論してきた。

 

その時期の法律を理解している相手側だと、(前出の管理会社等は説明をすれば理解してくれ、話も早く進みます)

しかし、理事会側の気持ちが強く、判例を受け入れるのに時間が掛かり、感情的になっている相手とやり取りするのは不愉快なので、ここは弁護士に登場してもらおうと思った。

 

ある若い40代の弁護士にお願いした所、引き受けてくれました。

 

弁護士の報告や助言を聞いていると、

当方に「どこかで妥協しませんか」と、言ってくる。

互いの金額の妥協点を見つけ出そうとしている。

 

私は判例の事も伝えてあるし、

「そういう話ではないのです。先生が考えているのは、判例が出る前の話で、今は先生の頭を切り替えて下さい。お伝えした判例の趣旨を精査し、こちらの主張が正しい事を理解してください」

 

「5年分はお支払いしますが、それ以上は支払いません。と伝えて下さい。先生はこちらの主張を通して、引き下がらない様にお願いします」

と何度もメールでやり取りした。

 

それでも、まだ妥協しようとする。

私は、判例も伝えてあるのに、弱腰の弁護士にだんだん腹が立ってきた。

 

弁護士に伝えた。

相手側に法律に詳しい人に相談してほしいと助言して下さい。それでも、こちらの要求を受け入れないという事であれば、本訴にもって行って下さい。先生は訴状の用意をしておいて下さい。「裁判する」と言えば、相手側の主張が裁判所に受け入れられないのが分かり、必ず折れますから。

当方が負けることはありません。先生は強気でいて下さい」

 

「どこかで妥協しよう・合意点は?という事を先生がお考えなら、先生にお願いすることは出来ません」とハッキリ強く伝えた。                  

 

弁護士は、

「ェ! 本訴ですか?」

と、イヤイヤだったかも知れないが、私の言う通りに動いてくれた。

 

その2日後、弁護士から

「相手側から、承知しました。当方の主張を受け入れます。との返事がきました」

とメールが来た。(訴状を出す所まで行かずに合意できたんだ。)

 

「支払金額と日時を設定してください」とお願いした。

 

支払日当日、弁護士と2人で管理会社の事務所へ出かけた。       ㉕ 

 

相手側の理事長は

 

「色々失礼致しました」

「いえいえ、有り難うございます。これから皆様のお仲間に加えて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します」

と、お互い和やかに挨拶し、当方が支払うべき金額を渡し、領収書をもらった。

 

翌日、弁護士事務所に行き、お礼を述べ弁護士費用を支払った。

(費用は私が予想していたより、はるかに安かった)

 

弁護士さんからは、

「今回は勉強させて戴きました。有り難うございました」と言われた。

 

「先生が最後まで頑張って下さったお陰です。我儘申し上げ失礼いたしました。

有り難うございました」                 

 

平成14年、最高裁判決のマンション未納管理費は、定期給付債権として5年の短期消滅時効が適用されましたが、18年後の2020年、民法改正により定期給付債権は

一般の債権と同様に扱うことになりました。

 

マンションの所有者が管理費滞納をした場合、管理組合は、時効の更新(時効期間進行中に時効の基礎となる事実状態の継続が破られる事を理由に、それまで進行してきた時効期間を時効完成にとって全く無意味なものにする)の確定判決を取得することにより、未納管理費を所有者に請求できることになりました。

 

(日本経済もある程度落ち着きを取り戻し、不良債権問題もかなり片付いた結果だと思います)

 

最高裁判例、又、時折の法改正などにより、それに関わる当事者は、判断や結果を大きく左右される事を実感したものでした