43 借地権付建物 (借地非訟 3の1)

借地権付き1戸建ての物件を競売で購入した時の事です。

 

借地権付き建物ですから、建物は所有者となりましたが、

土地は借地ですから、地主さんと借地契約を結ばなくてはなりません。

 

普通、地主さんは名義書換料を支払えば、借地契約をしてくれますが、

「NO」と言う地主さんも時にはいます。

 

地主さんのお気持ちを知ろうと思い、連絡をし、面会を求め、会いに行きました。

 

ある川の側に古い平屋建の事務所があり、よく見ると、消えそうな字で○○合資会社と書いてある。

 

○○は地主さんの名前だ。

ここに間違いない。

 

「ごめん下さい」と中に入り、名刺を出してこちらの身分を伝えた。

 

目つきがきつい大柄の男性と、

身なりを気にしないような細身の女性。

 

会社の事務所は、10年位使っていない様な雰囲気で、

ファイルや書類等はなく、

机の上にはノートとペン立てがある位の殺風景な事務所だ。

 

「この事務所はもう仕事はしていないのだろう」と、思えた。

 

男性が地主で、女性は妹だと言う。

 

簡単な自己紹介、近況の話が終わって、

こちらが本題に入ろうとしても、話をそらし、関係のない話が続いた。

 

「この辺りに50年住んでいる。

とか、この事務所は取り壊そうと思っている」等、

 

女性がお茶を出してくれたが、

お茶の中には金粉が入っていた。

(この雰囲気で金粉? 違和感を感じた。胸に何か一物ある地主さんに思えた)

 

(これまでの流れが、なんだか嫌な感じがした。この先の暗雲を感じさせるものだった)

 

20分位話した後、

 

「弁護士から連絡をするので・・」と言って、弁護士の名刺を渡された。

 

本題に入るつもりは無さそう。

名刺をもらっただけで、具体的な話は何も出来ず、

その日は帰った。

 

その弁護士事務所の住所は、

港区虎ノ門で、調べると12名の弁護士が名を連ねています。

 

もらった名刺はその事務所の代表者の名刺だった

 

その2日後、名刺の弁護士さんから電話がありました。

 

弁護士さんからの初めての電話は

 

「○○弁護士事務所の代表者の△△です。又連絡致します」

と言う簡単な内容だった。

 

その後、2週間程は連絡なし。

こちらから連絡すると、

 

「今から顧客の所に行くので、後程連絡します」と言う。

 

その後、電話は掛かってこない。

逃げている様子。

 

こちらからも何度か電話を入れたが、

事務の女性が

 

・「裁判所に行っています」

・「出張です」

・「伝えておきます」

といった具合です。

 

つまり、借地契約に関して、まともな話は全く出来ず、

1ケ月半が過ぎてしまいました。

 

私の中には、不信感がムクムク沸いて大きくなってきました。

 

地主と借地契約が出来ない場合、

地主から「出ていけ」と言われても、

当方は打つ手がないのです。

 

けれど、競売で借地権付き建物を取得した場合、

取得してから2ケ月以内に裁判所に申し立てれば、裁判所が地主に代わって

借地権を認めてくれる制度があります。

(借地非訴)