借地権付き1戸建ての物件を競売で購入した時の事です。
借地権付き建物ですから、建物は所有者となりましたが、
土地は借地ですから、地主さんと借地契約を結ばなくてはなりません。
普通、地主さんは名義書換料を支払えば、借地契約をしてくれますが、
「NO」と言う地主さんも時にはいます。
地主さんのお気持ちを知ろうと思い、連絡をし、面会を求め、会いに行きました。
ある川の側に古い平屋建の事務所があり、よく見ると、消えそうな字で○○合資会社と書いてある。
○○は地主さんの名前だ。
ここに間違いない。
「ごめん下さい」と中に入り、名刺を出してこちらの身分を伝えた。
目つきがきつい大柄の男性と、
身なりを気にしないような細身の女性。
会社の事務所は、10年位使っていない様な雰囲気で、
ファイルや書類等はなく、
机の上にはノートとペン立てがある位の殺風景な事務所だ。
「この事務所はもう仕事はしていないのだろう」と、思えた。
男性が地主で、女性は妹だと言う。
簡単な自己紹介、近況の話が終わって、
こちらが本題に入ろうとしても、話をそらし、関係のない話が続いた。
「この辺りに50年住んでいる。
とか、この事務所は取り壊そうと思っている」等、
女性がお茶を出してくれたが、
お茶の中には金粉が入っていた。
(この雰囲気で金粉? 違和感を感じた。胸に何か一物ある地主さんに思えた)
(これまでの流れが、なんだか嫌な感じがした。この先の暗雲を感じさせるものだった)
20分位話した後、
「弁護士から連絡をするので・・」と言って、弁護士の名刺を渡された。
本題に入るつもりは無さそう。
名刺をもらっただけで、具体的な話は何も出来ず、
その日は帰った。
その弁護士事務所の住所は、
港区虎ノ門で、調べると12名の弁護士が名を連ねています。
もらった名刺はその事務所の代表者の名刺だった
その2日後、名刺の弁護士さんから電話がありました。
弁護士さんからの初めての電話は
「○○弁護士事務所の代表者の△△です。又連絡致します」
と言う簡単な内容だった。
その後、2週間程は連絡なし。
こちらから連絡すると、
「今から顧客の所に行くので、後程連絡します」と言う。
その後、電話は掛かってこない。
逃げている様子。
こちらからも何度か電話を入れたが、
事務の女性が
・「裁判所に行っています」
・「出張です」
・「伝えておきます」
といった具合です。
つまり、借地契約に関して、まともな話は全く出来ず、
1ケ月半が過ぎてしまいました。
私の中には、不信感がムクムク沸いて大きくなってきました。
地主と借地契約が出来ない場合、
地主から「出ていけ」と言われても、
当方は打つ手がないのです。
けれど、競売で借地権付き建物を取得した場合、
取得してから2ケ月以内に裁判所に申し立てれば、裁判所が地主に代わって
借地権を認めてくれる制度があります。
(借地非訴)