お金持ちの地主さん 1

事務所の日常は、時々営業の人が来たり、大家さんが来て、「お部屋が空いているので見てほしい」とか、業者さんから当社が管理しているお部屋の問い合わせとか、お部屋を探しているお客様が来たり、とかです。

お客様には私も借りる気分で一緒に広告を調べたりします。大家さんは用事だけを伝えて帰られる方もいれば、おしゃべりが好きな大家さんは長々と話し込んでいく方もいます。

「この店はあまり流行っていなさそうだから、長居しても良いだろう」と内心思っているのかも知れません。

宗教の人も良く来る。立正佼成会ものみの塔創価学会等、常にお断りしているが、ある教会は500メートル先に教会があるので、何度も来る。

3人~5人位で、熱心だ。とうとう困って「信じているものがありますので」と言ったら直ぐ帰るようになった。                

大家さんの中で何度も来る大家さんがいる。お部屋が空いていると言ってくれる。  

お話しして段々分かった事だが、この辺りの大地主(A地主)さんらしい。

一見普通のおじさんで大金持ちにはとても見えない。

つっかけを履いてラフなTシャツの格好をして、いつも自転車移動をしている。

お店に来る時は、くたびれた布袋に書類を一杯いれて持ち歩いている。

其の内、袋から書類のファイルを取り出し、説明し始める。

書類の厚さが凄いのだ。机一杯になる。

全部自分所有のマンションや、貸地、借地人の資料だと言う。数が多い。

(つまり、ご自身の全財産の書類を持って来る)

「父親から相続した時は相続税を数億払った」と言う。

相続税が数億だから、所有不動産は・・?です)               

その大家さんの返事には「すごいですね」としか言いようがない。

それでも話し続ける。2時間。私は疲れた。

「早く帰ってくれないかなー」内心思う

(私は慎ましく自分の仕事が出来ればいいのだから。人の財産の話を聞いても困る)と思った。ところがそれからも来る。

一応お客様商売だから「いらっしゃいませ」と愛想よくしている。

大地主(A地主)さんは、新築のマンションを建てたので、その管理をしてほしい。と言ってきた。

どうしよう?

話の長い地主さんだし、お付き合い出来るかな?

でも、新築のマンションだし、(新築と言う所は魅力がある)不動産の仕事をしているのだから、ありがたいと思ってやらなければと、決心した。

その後、その大金持ちの地主さんから、借地の共同売却の話や、借地の更新・地主さん自身の所有マンションの売却・購入等、色々お話を戴いた。