会社で買った未入居の店舗を、
カレー屋をしたいので、借りたいというご夫婦が来ました。
1.5キロ位離れた別の所でカレー店をしていたが、
ビル建て替えの為、
そこを立ち退くことになったらしい。
その人に貸すことを決めました。
しかし、賃借人は奥様の名で、彼と母親(義理)が連帯保証人になった。
(これには事情があり、後に説明)
以前のお客さんも引き続き来てくれたり、新しいお客も来て、
夫婦2人でまあまあ心配なくやっている様子。
店主は48歳。彼は家賃をいつも当社に持参してくれる。
(店と当社はそんなに遠くない)
そんなこともあって、暫く話をして帰る。
カレー屋さんに至った話もしてくれた。
元々彼は杉並の地主の息子で、自宅のマンションは、
住まいと賃貸の部屋がある3階建てのビルです。
父親が清水建設で建てたらしい。
バブルの頃、彼はゴルフ会員権売買の会社の社長をしていて、随分儲かった様子。
会社の経営も順調で、しかも土地を持っているから
「銀行がお金を借りてくれ、いくらでも出す」と言われ、
車も、2~3台持っていて、ベンツ・ポルシェを乗り回して
派手な生活をしていたと言う。
今の奥様とは、その頃知り合い結婚したとか。
所が、バブルがはじけると、お決まりの様に右肩下がり、
彼は会社を潰すだけではなく、
それ以上に、マンション・土地を差し押さえられ、
「こんなになってしまいました」と言う。
彼の父親は亡くなっていて、
母(義理)姉2人(結婚して他で暮らしている)には
バカ呼ばわりされ、
肩身の狭い思いをしているという。
母(義理)とは、マンションの別々の部屋で暮らしているが、
母はきつい人で、彼にも奥さんにも良い顔をしない。
父親が亡くなった時、彼が相続した土地200坪は競売にかけられ
すでに他人の名義になっている。
残っている不動産(ビルやその他の土地)は母親名義となっている。
マンションの(敷地権化されていない)部屋3室だけは彼名義で残っている。
が、これも差し押さえられている。複雑な状況だ。
滞納額は、当初2000万位だったが、延滞税で膨らみ、
今では1億3000万ぐらいになり、
国税に差し押さえられ請求されている。
「この先どうなるのかナー」
と彼は深くため息をつく。
「どうしたら良いか?」
と何度も相談を受けるが、
こんなに大きく膨らんだ金額にビックリするだけで、
私には返す言葉もない。